公民教科書と李美一さんのこと

今回、自由社の「新しい公民教科書」の執筆者の一人として、まあごくわずかですが書かせていただきました。実はその中で、朝鮮戦争時の韓国人拉致について書いたんです。朝鮮戦争中、数万人が北朝鮮に拉致された、という意味のことを書きました。これは歴史的事実で、韓国でも実際に朝鮮戦争拉致被害人士家族協議会というのがありまして、今は交代しているかもしれないけど、李美一さんという方がかって会長でした。この方はお父さんが拉致されているんですよね。

実は、この李美一さんには、一つすごく申し訳ない思い出があります。東京で韓国のNGOと一緒に北朝鮮の人権問題に関する国際会議をやった時に、李さんは、自費でもちろん日本に行くから、シンポジウムの場とかで5分でいいからしゃべらせてほしい、と訴えたんですけど、主催者の中心だった韓国の方が、まあ言ってしまえば断ったんですよね。

すべての韓国の人権団体がそうだとは言いません。前もって時間も登壇者も決まっているんだから、簡単に入れられないというのもわかる。でも正直、あの時は、人権を語っていながら「英語が喋れる、学歴が高い」人間を優先する、庶民の被害者を軽視する、そんな姿勢をちょっとあの時は感じたんです。これが事大主義というものかと。李さんは食事会でしゃべってもらいましたが、正直、あれは主催者の一人として本当に申し訳なかった。個人的に通訳を通じて謝りましたが・・・

朝鮮戦争中、占領した土地の人間を、今度は退却する時拉致して行ったわけで、こういうのこそ「戦時の強制連行」というのだと思いますけど、まあ韓国でも拉致という言葉を使っているのでそこはこだわらず拉致にしました。でも、実はこの部分、検定でいろいろ意見がついて結局削除になったんですよ。

まあ、教科書の記述というのは、学者でもない私の書いたものがそのまま通るような世界ではないし、他の私の書いた文章は意外と(笑)スムーズに通った部分もありましたから、別段このことだけをこだわってるわけじゃないです。ただ、「戦場における人権侵害」「強制連行」を告発する運動をしている方は、これを読んだら「北による韓国人の拉致・強制連行の事実を削除するとは文科省はけしからん」と声を挙げてくださればと思います。

まあそんなこんなで、私も教科書の執筆という生まれて初めての経験をいたしました。大して役には立てませんでしたが、このような機会を与えてくださった自由社と新しい歴史教科書をつくる会の皆様方には心より感謝しております。

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