大林宣彦監督、天国へ。私にとっては「ふたり」「青春デンデケデケデケ」が忘れがたい傑作

大林宣彦監督が天国に旅立たれました。私はそれほど多くの作品を見てはいないのですが、一番好きな映画は「青春デンデケデケデケ」です。あれほど爽やかで哀しい青春映画はそんなにたくさんはないと思っています。

ベンチャーズに魅せられた年代の、かつ地方の高校生の物語で、私はこの映画は絶対来日したメンバーにも、感謝の意味をこめて見てもらうべき作品だと思いました。

日本にエレクトリック・ギターとロックの魅力を伝えたのはビートルズでもストーンズでもなくベンチャーズであって、少なくとも日本のロックファンは彼らに足を向けては眠れないのですが、ベンチャーズのギターがいかに当時の若者の心を解放したかを、見事なまでにこの映画は描いていました。もしこの映画をベンチャーズのメンバーが見たとかいう記録があれば、ぜひその時の感想を聞きたいなあ。

でも、大林監督のファンからすると、この作品はちょっと異質で、あくまで尾道三部作などが本流なのでしょうね。ただ私は、もっとも大林監督らしい作品は「ふたり」ではないかと思っています。

これも尾道を舞台にしているのですが、行ったことのない私が言うのは何ですけど、街の坂道の風景を一番美しく映しているように思うし、後、中嶋朋子と石田ひかり、特に後者に大林がほれ込んでいるのがよくわかり、ここまで彼女の魅力と美しさを引き出したのはすごい。特にラスト近く、石田が姉(の幽霊)に決別する時の表情のアップは鬼気迫るものがある。

正直、見る人を選ぶ映画で、こういうのが嫌いな人は「ダラダラして思い入ればかりのシーンでついていけん!」となるか「ずっとこの映画を観ていたい」となるかに分裂すると思うが、花火と第9交響曲が鳴り響くシーンとか、もうこの人にしか思いつかない演出だと思う。いま思いついたんだけど、この映画の演出はある意味すごくアニメ的で、たぶんそこが好き嫌いのわかれるところなんだな。悲劇にあった京アニメーションとこの作品の比較とか、映画評論家の方やってくれないだろうか。なんか共通性を感じるんですけど。

AKB関連の女子たちの不幸は、大林のような優れたアイドル映画(これは最高の意味で使ってます)を撮れる人に中々出会っていないことにあるような気もする。大林はジョン・ウエインについての素晴らしい評論も書いていたと思うけど、西部劇をとても愛していた(トークでしばしば語っていた)。天国では思い切ってウエインに出演交渉し、西部劇を撮られたらどうでしょうか。きっと大林監督ならではの作品となると思う。

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