N国党については真鍋氏のこの論考が最も的を得た分析と思いました

N国党については、私の見た限りでは真鍋厚氏のこの論考が、一番的を得ているように思えましたので紹介させていただきます。ついでに言いますと、知人の職場ではかなりの人が投票していたとのこと。その理由はほとんどが「入れたい党がないので」というのと「契約もしてないのに受信料は払いたくない、その思いを代弁してくれたから」とのことでした。(NHKの番組内容には特に明確な意見はないようです。せいぜい「あまり面白くない」「あまり見てない」くらいかな)

いい悪いは別にして、私はこの方々を決して否定も馬鹿にもしませんし、その資格も私にはないと思っています。そのような閉塞状況に時代を追い込んでしまったのは、既成の政党、政治家、またそれらを応援してきた言論人(大した言論人じゃないけど私もその末端にはいるかもしれません)にも責任の一端があるはずです。私はN国党の政治姿勢にもまた最近の議員の集め方にも共感できない人間ですが、彼らを批判する前に、自分自身の責任を問うことから始めなくてはいけないでしょう。

N国党躍進を茶化す人が見落とす「庶民の鬱屈」 面白半分で票が集まったと考えるのは大間違い (真鍋厚)

「NHKから国民を守る党」(N国党)が参院選で1議席を獲得し、政党要件を満たしたことが世間に衝撃を与えている。7月29日に、日本維新の会から除名され、現在無所属の丸山穂高・衆院議員が入党して2人に増え、翌30日には旧みんなの党代表で無所属の渡辺喜美氏と会派「みんなの党」を結成するなど、話題性だけでなくその党勢も着実に伸ばしつつある。

 この現象に対して世間ではテレビ番組の識者のコメントをはじめとして、「茶化したり」「単なるネタ扱い」に終始していたりしている論調があまりにも多いが、それでは本質を見誤る。受信料を支払う人だけがNHKを視聴できる「スクランブル放送」の実施を掲げ、比例代表で98万票超を獲得した事実は重い。

「優先的地位」の既得権益層に対する敵意

 この100万人近い人々の「民意」。深層に、自分たちの存在など歯牙にもかけない現状の政治体制に対する絶望や、自分たちの生活実感とかけ離れた「優越的な地位」の既得権益層に対する敵意があるに違いない。

 ただし、それは「NHK」という事業体そのものの改革の是非というよりかは、NHKは分かりやすい〝的(まと)〟にされているに過ぎない。「NHK」に象徴される「巨大な既得権益」への反発であり、自分たちのお金を強制的に吸い上げる一方で、自分たちの生き死に対しては一切関心を示さない、目には見えない力に対する拒絶のサインである。無意識に潜むメッセージを一言で言えば、「もう自分たちは黙ってはいないぞ」「混乱の種を国会に送り込んでやる」ということを象徴しているのだ。

 数年前、居酒屋でたまに会う中小企業経営者の50代の男性が、突然、ある紙片を目の前に投げてよこした。それは櫻井よしこ氏が『週刊新潮』で連載していた「日本ルネッサンス」というコラムのコピーだった。NHKの「金満体質」を猛烈に批判したもので、偏向報道を行い、受信料収入で巨額の有価証券を買い、職員が国民の平均給与の2.5倍を得ていることを口酸っぱく非難し、最後にスクランブル放送の必要性などを説くという内容だった。

 そのコピーはすでに何人かが回し読みしていたらしく、手垢や油のようなものが付いていた。赤ら顔の男性は「こんな状態を放置してるようじゃ、日本もおしまいだな。わしらみたいな庶民から金を巻き上げて」とつぶやいて、特に同意を求めることなく去っていった。しばらくしてから、人づてに男性がN国党を支持しており、居酒屋で党名が入ったNHK撃退シールを配っていたことを知った。この経営者の男性は、身なりも言動も至って常識人という感じで、店主などからも好かれていただけに、撃退シールの話とどうしても結び付かなかった。

 だが、今ならよく理解できる。

「上級国民」騒動が示す圧倒的不均衡への憤り

 今年4月、東京・東池袋で車が暴走し、歩行者10人を次々とはね、母子2人が死亡する事件が発生した。ネット上では、加害者が逮捕されないことから、元官僚という経歴が理由ではないかとの憶測が飛び交い、ニュースに取り上げられるほどの「炎上」騒動に発展した。また、そのような特権的な地位にある者を「上級国民」というスラングで揶揄(やゆ)した。

 ここで表面化したのは、「持つ者」と「持たざる者」の圧倒的不均衡への激しい憤りである。それがある種のデマをきっかけに大爆発を起こしたのである。先の男性の嘆きを借りれば、なぜいつも「わしらみたいな庶民」が泣き寝入りしなければならないのか、ということなのだ。ここに今回の参院選で「N国党」を支持した人々の心理を解き明かすヒントがある。

 そもそも、「N国党」は、NHKの「強引な集金人」などへの対応といった、非常にピンポイントな分野ではあるけれども、国民の身近な困り事に寄り添う活動とイメージ戦略で地歩を固めてきた。このような一般の人々の直接的な不安とリンクした形の草の根運動は、これまで既存の政党が見過ごしてきた問題を拾い上げる印象を与えると同時に、「NHKという権力」と「NHKという権力に新興政党が挑む、エンターテイメント性」が対峙するエンターテイメント性の高い闘争のドラマを提供してきた。

 N国党代表の立花孝志氏がユーチューバーであることなどがクローズアップされやすいが、地方から草の根運動で少しずつ支持を伸ばしてきたことを忘れてはならない。2019年4月の統一地方選で「N国党」は大躍進を遂げている。東京23区や関西を中心に47人中26人が当選し、所属議員が一挙に30人を超えたのだ。異論はあるかもしれないが何度も繰り返して強調したいのは、泡沫候補に〝面白半分〟で投票した者がほとんどと考えるのは大間違いだと思う。そこには「庶民」の鬱屈(うっくつ)が反映されている。一定の合理性があると結論づけるのが妥当なのだ。

 ここで最も懸念しなければならないのは、「NHKを巡るイシュー」がかつての「官僚叩き」のように、政治家の人気取りの道具にされることである。すでにその兆候は現れている。「日本維新の会」の松井一郎大阪市長が「NHKが現職国会議員の受信料不払いを認めるのであれば、大阪市も(受信料の支払いを)やめさせてもらう」という主旨の発言をしたことが報じられているが、元維新の会の議員である丸山氏を取り込んで注目を集める「N国党」の動静を強烈に意識したものであることは指摘するまでもないだろう。

 今後も引き続き他の政党や政治家による「N国党」への接触や言及は進むだろう。だが、「NHKを巡るイシュー」ばかりに注目が集まることで、場合によっては消費増税や安全保障問題など、他の重要な論点の数々に対する関心が弱まる可能性がある。当然、このような状況を巧みに利用する者も現れるだろう。

 立花氏は、スクランブル放送の実施への協力と引き換えに、安倍政権の悲願である「憲法改正の国会発議に賛成する」と明言している。

「無党派だが不安や不満を抱えた層」を取り込んだ

 実のところ、「N国党」は、既存の政党がアプローチできていなかった「無党派だが何らかの不安や不満を抱えた層」を掘り起こすことに成功していた、と素直に考えるのが正しいように思われる。それは山本太郎代表が率いる「れいわ新鮮組」も同様だろう。

 与党を含む他の政党は、このことの重大性についてもっと自覚したほうが良いかもしれない。もしこれらの階層に潜在している怨嗟(えんさ)を上手く手当てすることができなければ、「N国党」でなくとも別の新興勢力のようなものが、数百万人は存在するであろう「怨嗟の票田」を得て急伸するだけである。想定外の事態へと突き進むポテンシャルがあることに、果たしてどれだけの人々が気付いているだろうか。

 先日、電車に乗っていたら、珍しいことに20代の若者のグループが参院選の結果で盛り上がっていた。そのうちの1人が発した「国会がカオス過ぎて面白い」は、「れいわ新選組」と「N国党」が提供した話題についての反応だったが、これほどシンプルに今の時代の空気を言い表した感想はないだろう。

 「れいわ」と「N国党」は出現の仕方もベクトルも異なるが、社会の地滑り的な崩壊が始まったことを知らせる、いわば2つの別々の音色を発する警笛のようなものであろう。

http://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/n%e5%9b%bd%e5%85%9a%e8%ba%8d%e9%80%b2%e3%82%92%e8%8c%b6%e5%8c%96%e3%81%99%e4%ba%ba%e3%81%8c%e8%a6%8b%e8%90%bd%e3%81%a8%e3%81%99%ef%bd%a2%e5%ba%b6%e6%b0%91%e3%81%ae%e9%ac%b1%e5%b1%88%ef%bd%a3-%e9%9d%a2%e7%99%bd%e5%8d%8a%e5%88%86%e3%81%a7%e7%a5%a8%e3%81%8c%e9%9b%86%e3%81%be%e3%81%a3%e3%81%9f%e3%81%a8%e8%80%83%e3%81%88%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%af%e5%a4%a7%e9%96%93%e9%81%95%e3%81%84/ar-AAFhnQ8?fbclid=IwAR3lKHu5qO7Y7A5-3bH1daGGS0DyXsJLyvUxpX7aka8jzjmOaOSZPSIV1xE#page=2
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