雑誌アエラ3月14日号にウイグルのいい記事が載りました ただ、末尾が残念

今発売中のアエラ3月14日号に、ウイグルについてのとてもいい記事が載っていますので一部紹介します。

「命の危険『もう帰れない』」

昨年半ば、新疆のカシュガルから15年以上前に来日し、都内で働いている会社員のアディルさん(仮名、40代、日本国籍)のスマホに突然、中国の公安警察から動画が送られてきた。

「収容所内にいる父を写した動画だった。ひげをそられ、頭にはこぶがあり、『政府のお世話になって私は幸せだ』『彼らに協力して国家に尽くせ』と無表情で繰り返していた。背後の壁に監視カメラがあり、無理やり言わされているのは明らかだった。」

「2017年の初め、弟から突然『家族を連れて日本から帰ってきてほしい』と不自然な電話があった。返事を濁していると、突然電話口に公安が出て、帰国を強要された」(中略)

アディルさんが公安の誘いを断ったところ、間もなく故郷の両親や弟と連絡がつかなくなった。

「父と弟は17年に「学習」(収容所)に送られ、恒例の母だけが家に残されたそうだ。収入源のない母が、どうやって生活しているのかもわからない」

昨年初頭、再び公安から電話が来た。中国政府に協力して、日本国内の同胞を売るスパイになれという誘いだったが「私は日本国籍なので協力できない」と突っぱねた。動画が届いたのは、その半年後だった。今、アディルさんの親族12人が収容所に送られているという。(後略)

前にも言ったことがありますが、これは皮肉でもなんでもなく、中国政府が痛いのは産経新聞に書かれる以上に朝日新聞系のメディアが中国の実情を伝えること。その意味で、こういう記事を書いてくださったアエラ取材班の方々には感謝いたします。このウイグルの人権問題には左も右も親中も反中もない。中国を愛しいい国になってほしいという人こそが声をあげるべき問題でもあります。

ただ、これは書きたくはないのですが、記事最終部の一言は、私としては上述のような考えを持っているからこそ残念。

「彼らが(在日ウイグル人が)声を上げづらい理由は、本国で家族を人質に取られていることに加え、別な要因もある。

『日本国内にあるウイグル族の民族運動組織は、反中国的な理由で接近した国内の右翼、保守勢力や新宗教団体との関係が深いこともあり、万人が安心して近寄れるとは言い難い状況にある』ウイグル問題に詳しいルポライターの安田峰俊さんはそう指摘する。」(後略)

安田氏がそうお考えなのは自由。ただ、その言葉を記事の締めに引用するのなら、日本国内のウイグル人(私は「族」という言葉は好きでないのでこう呼びます)運動組織にも一言取材してほしかった。

確かに、私は「反中国的な理由でウイグルに興味を持った日本の右翼」であると言われればそれは受け入れます、その面はあるから。これまでのウイグル運動に何の問題もなかったともいわない。しかし、昨年から、ウイグル人主体のデモ行進が何度も行われ、「運動組織」に参加しようとするウイグル人はこれまでとは比べ物にならないほど集まるようになった。

私たち日本の支援者も、自分たちの(日本人としての)主義主張や運動のやり方をウイグル人に押し付けるのはできるだけやめようと意識しているつもり。今の運動団体には近づきたくないというウイグル人もいることも認めますが、ずいぶん状況は変わりつつあることも取材してくれれば理解できると思う。

安田峰俊氏は優れた書き手です。天安門に参加した民主化運動家のその後を斬新な切り口でルポした『八九六四』や、中国からの亡命者の手記を見事に編集した『「暗黒・中国」からの脱出 逃亡・逮捕・拷問・脱獄』などは私は大変感銘を受けました。ただ、安田氏は、日本ウイグル協会のイリハム・マハムティ氏をほとんど詐欺師のように書いたことがあるし、また日本のウイグル運動についても、実際の運動家に取材したとはとても思えぬ文章を発表したこともある人だということも、アエラ編集部の方には知っていただきたい。

さらに言っておくと、北朝鮮の拉致問題や人権問題について、私は複数の人から「右翼がかかわっているから近づきたくない」という言葉を何度も聞かされました。それはその人の自由。ただ、それならあなたは被害者や抑圧された人々をあなたの政治的立場のために見捨てるのですか、という言葉がのどまで出かかったこともある。安田氏の言葉を読むとそのことを思い出します。

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