謹賀新年 「楽しくやろうぜ、時代なんて気にするな!」ヨハン・シュトラウス万歳

ウイーン・フィルのニューイヤーコンサートにちなんで、というわけでもないのですが、最近読んだ「ヨハン・シュトラウス」(小宮正安著 中公新書)で、「美しく青きドナウ」に、最初の段階でつけられていた合唱曲の歌詞を知りました。これがあんまりおもしろいので紹介します。

「楽しくやろうぜ ウイーンのみんな(中略)時代なんて気にするな こんな時代なんざ! 悲しんだって どうしょうもない 苦しんだって、悩んだって、何の役にも立ちやしないだろう? だから、楽しく愉快にやろうぜ」(同書124頁、ちょっと略してます)

この詩が最初につけられた時点では、このワルツは題名もなく完成もしていませんでした。当時オーストリア帝国は、新興国家プロイセン帝国との戦争に敗れ、国運の衰退を目の当たりにしていました。一時期、首都ウイーンは、舞踏会やパーティも自粛気味でした。しかし、シュトラウスはかねてからの約束で、ウィーン男声合唱協会用にワルツを書くことになっており、未完成のまま無題の楽譜をわたし、アマチュア詩人(本職は警察官)のヨーゼフ・ヴァイルがとりあえず曲にこのような詩を付けたのでした。よく言えば楽天的、悪く言えば単純そのものの開き直りソング。でも、これはこれで当時のウイーンでは歓迎されたようです。

後にこの曲が完成され「美しく青きドナウ」と名付けられてからは、合唱の歌詞も改訂され「ドナウよ、いとも青き川よ」という格調高いものに代わっていき、現在歌われているのはほぼすべてそちらの歌詞です。ただ、比べてみると、なんだか元の詩も私は結構悪くないような気がしてきました(笑)。ジャズソングの「明るい表通りで」の「お金はないけど 気分はロックフェラー 二人で歩こう オン・ザ。サニーサイド・オブ・ストリート」(私訳)にも相通ずるような、何かちょっと突き抜けた明るさがあるような。

私もこの文章を読んでくださっている皆さんも、昨年は色々辛いことも嫌なこともあったかもしれません。ただ、それはこのシュトラウスの曲を聴いてもう忘れることにしませんか。お正月だし、今とりあえず日本酒も持ってきたので一杯やりながら聴くことにします。では、あけましておめでとうございます。ヨハン・シュトラウス万歳!

リッカルド・ムーティの指揮でどうぞ。


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