漫画家の国友やすゆきさん、天国へ。「カネが泣いている」ぜひ読んでほしい名作

漫画家の国友やすゆき氏が亡くなりました。実は私はこの人の漫画はほとんど読んでいないのですけど、「週刊モーニング」に連載された「カネが泣いている」だけは単行本持っていて、今も時々読み返しています。

今は入手しにくい作品かもしれないけど、消費者金融、いわゆるサラ金をテーマにした漫画で、私個人は、有名な「ナニワ金融道」よりもはるかに好きな作品でした。「ナニワ金融道」が名作であることはわかるんだけれど、出てくる人間があまりにもデフォルメというか極端に描かれていて、逆にリアリティがなくなっていく感じがしたんですよ(特に中盤あたりから)これは「ウシジマ君」にも感じるんですけどね。

そこがこの「カネが泣いている」は、サラ金の側を決して極悪不動でも冷徹でもなく、むしろ当たり前の人間として描いていいます。

「私は理想ややりがいがあるからこの仕事を選んだのではありません、銀行を辞めて、ここしか行くところがなかったんです」「私たちは、お金を『借りてもらって』『利息を頂いて生活をしている、それが『金貸し』だ」「私は、これまでいろんな人に金を貸してきた。願わくば、金を貸すことが、その人のためになればと切に願いながら・・・」

主人公のサラ金の支店長はこういう人で、お金を貸した以上、その人の立場もそれなりに考えようとする(でも、絶対に取り立てる、そうしなければ彼の生活が持たない)。

借りる側も、転落してしまう女性の描き方も「ああ、こういう人っている」と思わせます。衝動買いが抑えきれず、また美人なんで中途半端に周りの男が助けてしまって逆に深みにはまる。ある意味ちやほやされて生きてきたので自制がきかない。また、倫理観が強く会社の不正を批判してやめさせられ、結局破滅してく男性の姿はあまりにも悲しいけど、最後に主人公にあてた手紙は中々泣かせる・・・

そして、この漫画では、サラ金を弱みに付け込んで高利でお金を貸し、人々を破滅させる社会の癌だと批判する女性弁護士に対し、主人公が自分の金貸しとしての信念をはっきりと語る所で終わります。

「あなたは、自分の(正義感の)満足のために人々を扇動して操っているに過ぎない、あなたのやっていることは誰も救ってはいない。」主人公のこの言葉は、正義を振りかざして人を一方的に裁こうとする姿勢(私も含め、「運動家」にはしばしば見かけます)への批判として本質を突くものです。

「世の中に絶対に正しいことなどない」という、当たり前の言葉が、この漫画ほど説得力を持って語られる作品はあまりないと思います。「カネが泣いている」興味を持たれましたら是非読んでみてください。

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