姜尚中がオウム事件についてあまりにもひどい発言。

ひどいタイトルと、あまりにも無知な(政治思想の立場ではなく、すぐ手に取れる資料を読んでいないとしか思えない)発言。編集部よく載せたねマジで。

姜尚中 オウム事件「ケリをつけるための死刑執行は在庫一掃セールのよう」 AERA 2018/07/18 07:00

(三浦)このタイトルは私は珍しく切れた。もし本当に死刑執行に反対しているなら、あるいは信念として死刑廃止論を貫く立場だったら、逆にこんな言葉は書けないし言えない。あえて誤解を恐れずに言うが、刑死した彼等(麻原含む)を心の底からバカにしていなければいえない言葉だし、犠牲者の想いにも何の関心も払わない言葉としか思えない。こういう言葉を読むとき、私は「セカンド・レイプ」とか「セカンド・テロリズム(造語)」という言葉を使いたくなる。

(姜)オウム真理教、教団トップら7人の死刑が執行されました。松本智津夫元死刑囚が万死に値することは間違いありませんし、被害者やその家族にとって一つの区切りという面もあるでしょう。しかし、なぜこの希代のペテン師に学歴も知性も備えた若者がイカレてしまったのか、依然として解き明かされぬままです。裁判で宗教家や心理学者、哲学者ら専門家の意見も聴取しつつ、元死刑囚の闇に迫ってほしかったと思います。

(三浦)私はオウム事件は他人ごとではないと思っているし、死刑になった彼らと自分が無縁ではないと思っているからこそ、ちょっとは裁判記録も読み、さらにはオウムに関する本はそこそこ読んだ。

その上で言うが、完全に解き明かされたとは言えないまでも、チベット密教のグルイズム(弟子は師に絶対の忠誠を誓い、時には理不尽な命令にも従うことによって修業が進む)悪利用、「学歴も知性もある」若者のエリート意識をくすぐりつつ、彼らを「世界を救うための殉教者」に仕立て上げる論理、ヨガと密室修行を組み合わせた神秘体験を与えて絶対服従を同時に強いる修行システムなどは一定の資料がすでに出ている。

また、それをどう評価するかは別として、今回処刑された弟子たちは、井上義浩にせよ、林郁夫にせよ、かなり率直に自らの犯罪も、またなぜオウムに魅かれ、麻原に魅かれたのかも語っている。若い弟子で、サリン事件直後、信者としての立場で自主的にテレビに出演し、オウムの内情を語った高橋英利(「オウムからの帰還」(草思社)著者)の本を読めば、サティアンの中でどんな悪夢のような日常があったのかもわかる

そして、裁判の場は本来思想を裁く場ではなく犯罪事実を法に基づいて裁く場であり、そこで社会や宗教の問題を論ずるのは逆に危険(それこそ思想統制になりかねない)。しかし、今回裁判所は、事件の本質に少しでも迫るために、宗教学者の証言なども取り入れようとしている。一応興味深いものが自由に読めるのでここで紹介しておく。まさか、姜氏はこの程度のネット情報も知らぬわけではあるまい。

高橋克也被告裁判・証言草稿──地下鉄サリン事件20年に際して

他にも、オウムを論じた本はいくつもあり、同情的なものであれ断罪であれ、少なくとも問題の本質に触れようとした良質なものもある。一応、多少なりとも読んでみれば、オウム事件を理解するための資料は少なくないことがわかるのだ。ついでに言うと、私は麻原(松本という名前はあえて使わない)が稀代のペテン師だとは思っていない。逆に稀代のペテン師なら金儲けはしてもああいうテロは行わない。そのことも何人もの論者が指摘している(朝鮮総連議長だったハンドクスとかは確かに稀代のペテン師かもしれん)

(姜)裁判には可能な限り真相に迫り、歴史の検証にたえうる記録を残すという役割もあります。これらがほとんどすっぽかされたまま、ケリをつけるための死刑執行はまるで在庫一掃セールのような様相を呈しました。海外の反応も、その異常さに疑義を唱えるものが多かったと思います。

(三浦)裁判記録は確かに重要で、私はこの事件に関してはもっと一般の方に自由に読める形で公開すべきだと思う。それが今後のカルト問題への対処ともなりうる。しかし、この裁判記録が「すっぽかされた」「歴史の検証に堪えない」ものであるというのなら、少なくともその根拠を姜氏は示さねばならないだろう。

私は全文を読んではいない。しかし、単行本などの引用やネットでの記録を読む限り、裁判という限界内ではあれ、かなりの部分事件については明らかにされている。繰り返すが、裁判の場で人間の精神の闇や宗教の問題を全て議論することは不可能である。唯一その可能性があるとしたら、弟子たちが裁判の場で真摯に麻原に問いかけた言葉に、麻原が真摯に答えるほかなかった。

(姜)また、死刑執行後の問題として松本元死刑囚の死が後続の教団メンバーから殉死と見なされかねない問題が浮上しています。(中略)こうした問題から思い浮かぶのは、ナチスドイツです。ヒトラーの自決を殉死とみなし、崇拝が復活しないよう連合国の間にその遺体の在りかを明かさない暗黙の了解がありました。(以下略)

(三浦)私はヒトラーの死について、スターリンと英米との間にそんな「了解」があったとはどうにも思えないが(スターリンはヒトラーの死に対する情報を出したがらなかったはず)まあ歴史については論じません。

しかし、姜氏はこういうことを言う前に、オウムよりもはるかに膨大な(もちろん数の問題ではないが)多くの朝鮮人を殺害し、餓死させ、政治犯収容所に送り込んだ金日成や金正日が、それこそ「崇拝」されていることにちょっと思いをはせてほしいと思う。

もうあえて誤解を恐れずに行ってしまうが、私はカルト信者にたとえなってしまったとしても、こういう偽善者にだけはなりたくない。

You can leave a response, or trackback from your own site.

Leave a Reply

Subscribe to RSS Feed