マリー・アントワネットに聴かせたかったヴィオッティの名曲

ヴィオッテイのバイオリン協奏曲第22・23番を組み合わせたローラ・ボベスコのCD,時々無性に聴きたくなる時がある。こんなにいいメロディが満ち溢れていて、ちょっとおセンチな感傷も味わわせてくれる曲、もっとたくさんのヴァイオリニストが録音してもいい気がするのだが(例えばチョン・キョンファとかなんで録音しなかったのかな。あと千住真理子とか、日本人バイオリニストとかにもなんか会いそうな気がするけど)意外とCDは少ない。初心者向けの簡単な曲として軽んじられているとしたらもったいない。例えばアルビノーニの曲が好きな人なら絶対気に入るはずなんだけどなあ

音楽とその人生を結びつけるのは邪道かもしれないけど、作曲したヴィオッテイは、一時はパリでマリー・アントワネットに仕えるほどの成功者だった。しかし革命とその後の混乱の中イギリスに逃れ、1792年に書いたのが22番。この年、ルイ16世は幽閉され、翌93年1月処刑、マリー・アントワネットは10月処刑される。勿論そんな残酷や激動の時代を思わせるような音楽では全くないけど、逆に、滅ぼされてゆく時代の哀愁のようなものは感じさせる。ルイ16世も、アントワネットも、この曲は聞くことはなかっただろうけど、きっともし聞けたら心の慰めになっただろう・・・王政復古後パリに戻ったヴィオッテイはワインの商売などを始めたがうまくいかず、晩年は再び音楽に戻るが、かっての栄光は取り戻せなかったようです

ボベスコの演奏は、上記のような想像をたくましくさせる、何かはかなげな貴族の令嬢を思わせるもの。現実の亡命貴族の社会はたぶんもっとドロドロしたものだったのかもしれないが、こういう曲を聴いていると、何か亡命者の哀感のようなものまで感じさせる。

アマゾンでいま見るとすごい高価な値段がついているけど(2018年7月)こういうCDこそ安価で入手できるようになってほしいのに・・・どなたか新録論してくれないかな。グリュミオーのCDがあるようだから、そちらを聴けばいいのかもしれないが(未聴だけどグリュミオーはきっとこの曲ぴったりだし)

YOUTUBEでこの曲を検索すると、もう小学生が発表会でバリバリ弾いている映像がどんどん出てくる。いやー、これだと確かにプロは録音しにくいのかな。しかし、天国のヴィオッテイ氏は、ある意味喜んでいるんじゃないかな。マリー・アントワネットという人は今いろいろな本を読むと、別に悪女とか特に贅沢三昧というのではなく、要するに、ごく普通のちやほやされるのが好きなお嬢様で、あの時代にフランス王家に嫁いだからこそ悲劇的な生を送らざるを得なかった。時代が変われば、ちょっと我儘だけど利発で、ある種啓蒙君主的な一面も持つお姫様で一生を終えたかもしれない。その意味で、アントワネットやヴェルサイユに憧れるかもしれない年代の少女たちがこの曲を弾いているのを、誰よりも喜んでいるのは天国のヴィオッテイかもしれないのだ。

You can leave a response, or trackback from your own site.

Leave a Reply

Subscribe to RSS Feed