米朝会談前日に一言。偽善の平和は独裁者を助ける

12日の米朝会談の前に、最低限これだけは言っておかなければいけないのは、「偽善の平和」だけは認められないということ。その典型的な言説をここで一つ紹介しておきます。この↓のような意見こそ、北朝鮮(及び中国)の独裁体制を延命させ、民衆を苦しめ続ける現実を「平和」の名のもとに正当化するものです。

「わたしの願いは、ひとえに朝鮮戦争のような悲劇を二度と繰り返さないことにあった。休戦協定のもと半世紀以上にもわたって戦争が凍結されたままの朝鮮半島では、『内乱』はそのまま内戦や戦争に直結する危険があった。北朝鮮の体制の動揺が臨海点に達した時、その後にどんなシナリオが展開されるのか、ほとんど予想できない以上、力による封じ込めや政策はあまりにもリスクの大きい選択だった。」

「もちろん、北朝鮮の窮状は自業自得とみなされても仕方がなかった。こけおどしの大袈裟な宣伝文句や危険な瀬戸際外交、大規模な人権抑圧と行き過ぎた個人崇拝、ミサイル発射や核実験などの軍事的挑発など、北朝鮮という国家にはほとんど酌量の余地はない」

「しかしながら、その国家の中で生きる普通の人々は、ごみのような哀れな人間たちではない。泣きもし、笑いもする、血の通った、我々と同じ普通の人間なのだ。もし不測の事態になれば、まっさきに犠牲になるのは、そうした人々である。」

「(悲惨な戦争や殺戮を避けるためには)どうしたらいいのか。交渉するしか方法はないことは明らかだった。単に米国と北朝鮮、日本と北朝鮮といった二国間ベースの交渉ではなく、関係諸国にまたがる多国間ベースの交渉の枠組みが必要だった。なぜなら、危機の根底には、『終わらない戦争』があり、それは東北アジア地域を巻き込んだ準世界戦争の様相を呈していたからである」

「とすれば、朝鮮戦争を終結させ、米朝、日朝の国交を正常化し、そして北朝鮮の変化を則す、この作業を多国間の協力を通じてやり遂げれば、朝鮮半島を取り巻く東北アジア地域に新しい平和と安定の常設的な機関が創設されることになるのではないか。もしそうなれば『東北アジア共同の家』という私の年来の夢は、画餅に終わらず、新しい世紀の地域秩序のひな型になるかもしれないのだ」(姜尚中「在日」 集英社文庫252頁)

最近マスコミの一部で、米朝会談において、朝鮮戦争の終結宣言が出ることを期待するような傾向の言説が見られるので確認しておきますが、文在寅大統領という既に北朝鮮に従属している大統領が歓迎するのは当たり前ですし、仮にトランプ大統領がそれを自分の政治的功績にしようとしたにしたとしても、それはトランプ大統領の都合。明確にしておかなければいけないのは、朝鮮戦争終結宣言の方向に向かうことは、独裁体制に民主主義陣営が屈服すること。

この姜尚中の論旨は、彼だけではなく、もっと巧みな形でこれからたくさんの人がいいそうなのでくぎを刺しとかなければいけないのです、「北朝鮮の体制は確かに悪い、しかし、戦争になれば苦しむのは罪なき民衆」というのは全く事実認識が間違っている。「北朝鮮の体制が続く限り、平和の裡に民衆は苦しみ殺され続ける」というのが真実。

さらに言えば、「朝鮮戦争を終結させ、米朝、日朝の国交を正常化し、そして北朝鮮の変化を則す、この作業を多国間の協力を通じてやり遂げ」ることなど不可能。あえて言えば妄想に近い

簡単なことで、「多国間」というのは当然独裁体制の中国が入る。ロシアのプーチンも入る。まず、北朝鮮の変化を則するとか、東アジアを平和で民主的な地域にするとか、そんなことは全く考えていないのが「関係諸国」です。(ただ、朝鮮半島をどう影響下に置くかは考えているだろうけど)この妄想に比べたら、大東亜戦争に日本が勝利してアジアが平和で各民族分がが栄える共栄圏になることの方がはるかに現実性がありました。

ただし問題なのは、このような妄想的なことまではともかく、日朝国交正常化を何となく良いことでもあるかのように、また、拉致問題解決のためには必要であるかのように考えている人がたぶん外務省にも与党政治家にもいること。拉致被害者救出のために、正常化を交渉の手段として使うのはいい。しかし、原則的には、なんで北朝鮮のような国と国交を結ばねばいかんのか?

拉致犯罪や国際テロを行い、国内で人権弾圧という言葉ではとても語れない収容所体制・密告体制を敷き、しかも麻薬から偽札まであらゆる犯罪に手を染めてきた国の大使館が、国交正常化したら治外法権の場として東京のど真ん中に置かれるのですよ。その時総連も存在し続けていたら、連携しての工作活動も、下手をすれば麻薬犯罪だってやれるのですよ。スパイ防止法もなく、総連も野放しにされている状態での北との国交正常化はあり得ない。もしもそれを考えるとしたら、最低限、北朝鮮の独裁体制が崩壊し、かの国が多少「正常化」され、捕らわれた拉致被害者が救出された後のみです

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