朝鮮人徴用労働者の労務管理(昭和16年度)興味深い資料です

以下は、朴慶植「朝鮮人強制連行の記録」(未来社)に収録された資料ですが、これはなかなか興味深い。敢えて解説をつけず資料として紹介します

朝鮮人徴用労働者の労務管理

(秘)昭和十六年度

所長会議資料 (三)
内地鉱山ニ於ケル半島労務員管理ニ就テ(本社諮問事項第五ノ四)
半島鉱山ニ於ケル満支人労務員管理ニ就テ(同)

日本鉱業株式会社

一 内地鉱山ニ於ケル半島労務員管理ニ就テ(本社諮問事項第五ノ四)

富岡鉱山(高知)

半島人ノ大量使用ニ際シテ請願巡査ノ配置、技能的労務ニ関シ特殊養成方法ヲ講ズル必要アリ。半島人ノ欠点トシテハ、利己心ニ強ク、附和雷同性多ク(内面ニ立入レバ其割ニ団結力少シ)作業上鈍重ナリ。強力ナル管理ト共ニ温情主義ノ中庸ヲ痛感ス。
河山鉱山(山口)
政府ニ於ケル労務配置改策ノ徹底強化ニ伴フ半島人ノ大量使用ニ際シ、技術上及管理上ノ対策ハ半島人管理ニ専任者ヲ置キ、関係各機関ト密接ナル連絡ヲ保チツツ指導訓練ヲ行ヒ度シ。
春日鉱山(鹿児島)
半島人ノ取締ニハ内地人ヲ以テ之ニ充ツルヲ可トシ、現場ニ於テハ努メテ内地人ノ鑿岩手ノ許ニ於テ助手トシテ使用シ、半島人ノミノ組ヲ避クルヲ要ス。
王ノ山鉱山(鹿児島)
自由労働ヲ好ミ、浮動性アル彼等ノ統禦ニハ指導者ガ真ニ彼等ノ仲間入シテ、常ニ彼等ニ接触指導スルコトガ肝要ナリ。指導ニ当リテハ活殺自在且ツ威厳ヲ保タザル可カラズ。管理ニ就テハ社宅ヲ与へ、家族ヲ呼ビ寄セサセルコト、独身者ニハ早ク家内ヲ持タセルコト。
山内ニ朝鮮式ノ飲食店ヲ作り慰安場所タラシムルコト。内地人ノ生活様式ニ改メサセテ内地人ト交遊サセルコト。
赤石鉱山(岩手)
(1)技術上ニ於テハ特ニ指導班ヲ組織シ作業ノ訓練ヲ為スベキコト。
(2)管理方法ハ出来ルダケ内地鉱員トノ区別待遇ヲ為サズ、訓練期間ノ訓練宜敷ヲ得ルコトハ必要。人種的偏見アルヲ以テ粗悪ナルモノニ対シテハ、彼等ノ仲間同志ニ於テ認メシムル如ク善処スレバ、人種的偏見ヲ去り得ン。協和会ノ如キ外部ノ補導機関トノ連絡ヲ密ニスルコト。生活ノ内地化ヲ促進セシムルコト、共ニ健全ナル娯楽ヲ与フルコト。
岩美鉱山(鳥取)
(1)技術上ヨリ見タル半島人ノ使用ニ就テハ、相当ナル訓練ヲナセバ別段支障ナキモノト信ズ。
(2)管理上ヨリ見レバ内地人ノ半数以下ナラザレバ万一ノ場合統制上困難ト思ワル。
高越鉱山(徳島)
半島人ノ大量使用ニ際シ、技術上及管理上ノ対策
当管内ニ過去ノ成績ニ鑑ミ、小数(四、五〇人程度)ノ半島人ハ内地人ノ圧力(敢テ圧迫スルニ非ザルモ)ニ恐レ逃亡シ当管内ノ如キハ半年ニシテ五〇名ノ半島人ハ悉ク逃亡セリ。大量ナレバ彼等ノ団結力ヲ利用シ、管理ハ却ツテ容易ナランヤト考ヘラルルモ、管理者トシテ多数ノ係員ヲ要シ、又彼等ノ生活ニ適合スベキ諸施設ヲ完全ナラシムル事ヲ必要ナリト思惟ス。
大金鉱山(北海道)
半島人労務者ノ労務管理ハ、今後ニ於ケル事業遂行上慎重ニ考慮スベキ事柄デアル。
時局ノ展開ニ伴ヒ政府ニ於ケル労務配置ハ、内地人ハ勤労報国隊ヲ除キテハ絶望トナリ、必然的ニ半島人労務者ニヨラネバナラヌ立場トナレリ。
弊所ニ於テハ十五年一月ヨリ四回ニ亘リテ募集シ使役セルガ当初ニ於テハ、彼等ノ民族性、風俗習慣等ニ対スル我々ノ認識不充分ナリシ為、彼等ヲ禦スルニ相当ノ困難ヲ嘗メタノデアルガ、咋今ニ於テハ種々認識深マリ、漸クニシテ労務管理ノ軌道ニ乗ツタ状態デアル。
去ル九月二十六日札幌ニ於テ開催ノ「期間満了半島人定着督励懇談会」ニ於テ、林農学博士(半烏人北大出身)ガ半島人ノ指導定着ノ最大ノ鍵ハ愛情、熱意、温和、親切ノ四ツニ尽キルト述ベタノデアルガ、此ハ智識階級ノ半島人ノ立場カラ言ツタ事デアツテ、無智、文盲ノ半島労務者ニ対シ、前述ノ四項目ヲ其儘適合セシメテ成果アリヤ否ヤハ大イニ疑問ガアル。我等ノ親切ガ彼等二実際上如何ニ反映スルカト言へバ、必ズシモ其儘素直ニ受取ラレル事ハ少ナイノデアル。彼等ノ卑屈ナル精神、利己主義的ナ精神、又雷同性ノ精神等ハ、彼等ノ無智、無常識、文盲ニヨルモノデアル。
当山ニ於ケル七月末現在半島人ノ総数ハ七七名ニシテ、
未就学者 六六名 八五・七一%
小学校卒業者 五名 六・五%
小学校中途退学者 六名 七・七九%
デアル。日本語ヲ解スル者ハ
全ク解シ得ザルモノ 四三名 五五・八五%
稍々解スル者 一九名 二四・六七%
精通スル者 一五名 一九・四八%
トナツテ居ルガ、コノ内日本語ヲ解スル者ガ内部ニ於テ彼等ノ指導者トナリ他ノ者ヲ煽動スル如キ事多ク、単ニ日用語ヲ解スルト云ウノミデ内地人ノ精神ヲ理解スルヲ得ズ、徒ラニ国語ヲ悪用スルノミデアル。
結局彼等ヲ有効適切ニ使用スルニハ、皇民化運動ヲ徹底セシメ、真ノ日本精神ヲ吹込ム指導ヲシナケレバナラヌ。ソレニハ先ヅ日本語ヲ普及セシムルト共ニ、出来ル丈家族ヲ呼寄セテ定着性ヲ確実ニスルコトニアリ。
北陸鉱山(北海道)
(1)半島人ノ大量使用ニ対スル技術上ノ対策
(イ)半島人ハ内地語ヲ解スル者少ク作業上不便、(ロ)作業ノ習熟遅シ、(ハ)作業ニ対スル度胸少シ、(ホ)不器用ナリ、(ホ)技術ニ対スル向上心乏シ、(ヘ)努力ガナシ、(ト)又事実以上ニ内地人トノ差別感ヲ抱ク。故ニ原則トシテ内地人ノ助手トシテ漸次ニ指導シ、特ニ収得金等ニ対シ内鮮人ノ区別ナキ事ヲ認識セシムル様留意スルノ要アリ。
而シテソノ習熟ヲ促進スルニハ請負作業トシ、収得金卜結付ケテ督励スルガ効果的ナリ。
(2)同上管理上ノ対策
(イ)作業並ニ生活ノ秩序ヲ正シクスルタメ軍隊式ニ統率スルコト肝要ナリ。
(ロ)敬神思想並ニ全体主義観念ヲ助長スルコト、之ハ現場ノミナラズ、労務者係トシテ特ニ積極的指導ヲ要ス。
(ハ)管理上寛厳宜シキヲ得決シテ隙ヲ与ヘザルコト。
(ニ)猜疑心強ク些事ニ内鮮ノ区別感ヲ持チ、以テ事毎ニ克ク真義ヲ徴底セシムルコト。
(ホ)貯蓄奨励並ニ衛生観念啓培ニ留意スルコト。
(ヘ)性問題ノ解決方法ヲ講ズルノ要アリ。
(ト)多数ノ場合ハ専任指導員ヲ設定スル要アルベシ。
(チ)多数ノ場合ハ守衛及守衛所ヲ特設スルノ要アリ。
(リ)住宅ハ内地人ト区別セザルヲ要ス。
(ヌ)日立其ノ他ノ大量使役個所ハ半島人ニ対スル施設管理ニ関スル詳細ナル報告書ヲ各山ニ配附シ以テソノ管理ニ誤リナカラシメン事ヲ要スベシ。
恵庭鉱山(北海道)
現在弊山ハ全部デ半島人ハ四十%使用シテ居リマス。之レヲ坑内ダケデ見マスト、約七十%ニ達スル有様デス。之レ以上ハ坑内ハ不可能ト思イマスガ、職長ヲ増シ非常時型ニ彼等ヲ使役シ、請負制度トスレバ未ダ増セナイコトモアリマセン。又労務管理上、現在ノ者ノ気分ガ落着イテ来テ居リマスシ彼等ノ親戚或ハ知人等ノ来山希望者ガ非常ニ多イ位デスカラ問題ナイト存ジマス。之レハ弊山ノ離レ島的存在モ反対ニ効果ガアル様ニ思ヒマス。
旭日鉱山(兵庫)
当所ハ兵庫県ニ於ケル鮮人移入ニ於テ成績最モ優秀トノ讃辞ヲ頂戴セリ。現在山内居住者内地人六十五名六〇%、半島人四十四名四〇%ニテ安定セルガ、之レ以上増加シ内鮮逆比トモナラバ、保安防諜((ニ)ノ場合ノ治安維持ニ関シ特ニ)容易ナラズ、依ツテ如何ニ労力欠乏スルモ非常時ノ治安ヲ考慮セバ五十%以内ニ止メタシ(一般的非常ノ場合二於テハ警察ヲ頼ル訳ニ行カヌ)
日立鉱山(茨城)
(1)管理上ノ根本方針
半島人ハ李朝ノ勃興ニヨリ宗教ヲ奪ハレタルニヨリ、キリスト教思想、共産主義思想、民族主義思想、類似宗教ノ攪乱ヲ受ケ信教的ニ混乱シ居レリトハ云へ、彼等現在ノ人情、風俗、習慣等ノ根底ハ孔孟ノ教フル儒教ニアルヲ以テ、彼等ヲ理解シ之レヲ指導センニハ、儒教ヲ知ツテ徐々ニ日本的ニ訓陶スルニ努メ、民族的偏見ノ底流ヲ刺戟セザルコト管理上ノ要決ナリ。
(2)特性ノ利用方法
半島人ハ其ノ特性トシテ、自己二有利ナルコトハ何カラ何マデ主張スル傾向強キ故、内地人ニ対スルト同様ニ考ヘ、余リイチイチ正面二取上ゲ過ギル時ハツケ上ラセ増長セシムル虞アリ。適当ニ、或場合ニハ聞流シ、或場合ニハ威圧スル等労務管理上殊ニ取扱ヲ行フ必要アリ。尚附和雷同性ニ富ムニ付煽動ノ余地ナカラシムル為メ動静視察ノ要アリ。
(3)半島人相互ノ接触往来ニ対スル処置
内地先行半島人トノ直接々触ヲ絶対回避スルコトハ、管理対策樹立上重要ナル案件ノ一ツナリ。
内地先行半島人ガ新渡来者ヲ喰物ニセンガ為メ、甘言等ヲ弄シテ是ヲ誘惑シ、或ハ故意ニ内鮮対立民族的思想偏見ヲ注入シ煽動スル等新旧渡航者相互間ニ直接交渉ノ機会ヲ与ウルハ最モ危険ナリ。
仍テ之ガ防止対策ノ研究卜警戒ニ努ムルノ要アリ。
(4)習慣ノ陶冶
半島人ハ一般的ニ衛生思想ヲ欠キ、遊惰性ニ富ミ狡猾陰険ニシテ類似宗教ノ影響ニ依リ迷信ヲ信ズルコト厚ク、自ラ進ンデ事ヲ為スコトナク、自己任務ニ無責任ナルヲ以テ、之ヲ陶冶シ近代的装備タル団体的労務ニ使役シ得ル様指導訓練ノ要アリ、其ノ指導方針左ノ如シ。
係員ノ命二従ヒ、各自ノ自由行動ヲ取ラシメザルコト。
「皇国臣民ノ誓詞」ノ唱和ニ努メ、半島人従業員ハ常ニ皇国ノ臣民タルヲ自覚シ、事務所々定ノ法内規ヲ遵守スルハ勿論、平素ノ行状ヲ慎ミ、苟モ帝国臣民タルノ体面ヲ汚スガ如キ行為ハ絶対ニナサザルコト。
特ニ風紀ヲ厳ニシ酒女等ニ関シ聊カモ不行跡ナル行為ヲナサザルコト。
喧嘩、賭博ハ法律ノ禁止スル所ナルガ故ニ殊ニ厳禁スベキコト。
常ニ上長及指導者ノ命ニ遵ヒ、規律ヲ重ンジ所内ノ統制ヲ紊ルガ如キ行為ヲナサザルコト。
産業人トシテ職分ニ勉励スルハ固ヨリ、一般銃後国民トシテ克ク日本国民タルノ本分ヲ尽シ、身ヲ以テ他ニ範ヲ示スノ心構へヲ持スルコト。
努メテ内地人ノ人情、風俗習慣ニ順応シ、内地同胞ト協調融和ノ実ヲ拳グルコト。
前途ニ対スル光明ヲ把握シ、苟クモ自暴自棄的ナ行為ヲナサザルコト。
冗費ヲ節約シ、貯蓄ヲ励行シテ生活ノ基礎確立ニ努ムルコト。
峻厳宜敷ヲ得タル取扱ニ注意シ、差別待遇ヲナサザルコト。
信賞必罰ヲ以テ臨ムコト。
学問、智識無キ者モ自己ノ権利ヲ主張スル場合ニハ凡ユル理窟ヲツケ之ヲ守ラウトスル其反面責任乏シク、出来得ル限り休モウト心掛ケル習癖アルヲ以テ、監督ヲ緩ムルコトナク又出勤督励スルノ要アリ。
(5)移動防止上ノ管理方法
集団生活内ニアル以上、外出方法、収得金ノ用途ヲ放任スルニ於テハ、漸次規律生活ヲ破壊シ、酒色ニ耽リ賭博ヲ恣ニスル等遊惰ナ生活ニ陥リ、勤労嫌忌トナリ出勤率ヲ低下シ、遂ニ貯金モ送金モ杜絶スルコトトナリ、延イテ移住目的ヲ害フニ至ルコト明瞭ナル理由ニ依リ、外出方法ヲ毎週二回(但シ止ムヲ得ザル事情アリタル場合ハコノ限リニ非ズ)位ト制限シ、収得金ノ用途ハ月十円程度ノ小遣ヲ渡シ、其他ハ送金、貯金セシメ以テ貯金報国ノ趣旨ニ則ハシムルト共ニ、報恩考養ノ実ヲ拳ゲシムルノミナラズ、賭博開帳酒色等ノ遊惰生活ヲ防止スルコトヲ得、従ツテ出勤率モ向上シ勤勉トナリ得ルニ付移動防止上効果アリ。
尚移動防止対策トシテハ移動ノ原因ヲ探究シ、之レニ対応策ヲ講ズルノ要アリ。
(6)移動ノ原因
(イ)賃金ニ対スル不平
(a)賃金率
(b)所得高ノ不定
(c)渡航ノ手段トシテ応募シ、予想外ナル賃金ノタメ
(ロ)作業条件ニ対スル不平
(a)危険率ノ多キコト
(b)塵埃ノ多キコト
(c)悪臭ノ多キコト
(ハ)作業時間ノ不平
(a)余り長過ギルコト
(b)夜間出勤アルコト
(ニ)労働政策不平
(a)管理方法ニ対スル嫌悪
(b)職場変更困難ノ為メ
(c)昇進ノ途ナキコト
(d)外出不自由ナルコト
(e)娯楽設備不十分ナルコト
(ホ)家庭ノ事情
(a)家族ニ病人アルタメ呼寄
(b)結婚
(へ)身体上ノ関係
(a)病弱
(b)怪我
(ト)其他
(a)賭博ニ負ケタル為メ
(b)誘惑サレタル為メ
(7)煖房
集団移入セルモノハ炭火取扱ノ経験乏シキ故不始末ニナリ易ク火災予防ニ特ニ注意スル必要アリ。
(8)寝具
寝具貸与スル場合ハ取扱極メテ粗末ニスル嫌アルニ付月賦ニテ回収スルコトトスル必要アリ。
(9)食事
生活ノ中心問題デアリ苦心ヲ要スル所ナリ。
(10)半島人労務管理者ノ信念
労務管理ノ根本ハ他ノ凡テノモノヨリモ、労務管理者ノ熱ト涙ノ量ニ正比例スルモノニシテ、半島人ト雖モ特別ナル例外アルモノニ非ズ。従ツテ半島人ノ管理ハ彼等ヲシテ如何ニシテ立派ナル皇国民タラシメンカノ熱意ノ如何ニ存スルモノト信ゼラルルヲ以テ、其ノ管理者ハ単純ナルオ役目式デナク、熱意ト信念ニ燃ユル者ガ之ニ当ルコトガ最モ肝要ナリト信ズ。
尾小屋鉱山(石川)
(1)鮮人自体ノ部隊組織ヲ結成、軍隊的訓練ヲ常時実施シ、成績優良ナル者ニ対シテハ、特ニ表彰ヲナスコト、而シテ之ガ指導者ニハ帰還軍人又ハ警察官ニシテ、朝鮮ニ於テ鮮人取扱ノ経験ヲ有スル内地人ヲシテ当ラシムコト
(2)移入当初ニ於テ適性考査ヲナシ、強制的ニ各職場ニ按分シ指導スルコト。
(3)非常時ニ際シテハ全鮮人ヲーケ所ニ保護収容スルコト。
木戸ヶ沢鉱山(栃木)
特殊技能(主トシテ電機々械ノ運転)以外ハ半島人ヲ以テ代替シ得ルヲ以テ、技術的ニハ大ナル困難ナシ。但シ技能教育ヲー段ト強化スル要アルハ勿論ナリ。
管理上ノ困難ハ半島人ノ割合ヲ増ス毎ニ増加セシモ非常ニ際シテハ強制手段ヲ執ルノ外ナカラン。
宿舎、食糧ノ問題ハ或ル程度迄心配ナシ。
日光鉱山(栃木)
技術上ノ対策トシテハ
(1)各人ニ適スル業務ヲ与ヘル様努ムルコト。
(2)指導ト監督ヲ十分ニスルコト。
管理上ノ対策トシテハ
(1)温情ヲ以テ指導スルト共ニ常二圧力ヲ加フルコト。
(2)独身者ノ合宿ハ処々ニ分散シ、多数ノ集団トセヌコト。
(3)教育ハ或程度以上ナサヌコト。
(4)脱走ノ風習多シ、之レガ予防トシテ脱走スルモ他所ニハ絶対ニ使用サレザル信念ヲ植付ケルコト。之レガ為メニ説走者ノ取締ヲ厳ニスル様当局ニ陳情スルコト。
上北鉱山(青森)
(1)技術上ノ対策
(イ)半島人ノミニ依ル作業系統確立
半島人中ヨリ役付鉱員侯補者ヲ選択シ、技術的教育ヲ徹底シ内地人ノ作業系統ニ於ケルガ如ク、半島人ノミヲ以テ作業系統ヲ確率立シ、各職場ニ於テ独立作業ヲナサシム。
(ロ)半島人役付鉱員ノ養成
自山ニテ職長教育ヲ施スカ又ハ特定ノ鉱山二養成所ヲ設ケ、一定期間ノ教育ヲ実施シ、然ル後登用資格ヲ与ヘー般鉱員ノ指導ノ任ニ当ラシム。
(2)労務管理上ノ対策
(イ)自治的統治組織ノ編成
産報会ニ於ケル勤労作業部隊編成ノ如ク、部隊組織トナシ、指揮命令ノ系統ヲ明カニシ、同時ニ情報ノ蒐集ニ便ナラシム。
幹部ノ給与ハ奨励ノ為メ部下鉱員ノ作業能率及出勤率等ニ応ジ増減ヲ生ズルガ如ク、部下収得金ノ平均額ニ幹部手当ヲ加算ス
(ロ)協和会ノ利用ニ依ル統制強化。
警察ヲ母体トセル協和会ヲ高度ニ利用シ、労務管理統制ノ強化ヲ計ラントス。
白滝鉱山(高知)
(1)従来移入セル半島人中ノ優良者ヲ組長ニ養成スル事
(2)従来移入セル半島人中ヨリ適任者ヲ支柱手鑿岩手ニ養成スル事。
(3)産報部隊組織ヲ通ジテ訓練ヲ強化スル事。
(4)半島人管理ニ堪能ナル士ヲ必要ニ応ジ、各鉱山ヲ巡視セシメ、管理状態ノ視察及指導相談ニ当ラシムル事。
(5)警察機関ノ拡充(白滝ニ於テハ現在ノ巡査駐在所ヲ部長派出所ニシタシ)守衛制度ノ整備強化ヲ計ルコト。
大盛鉱山(北海道)
(1)労務係ノ増員及強化
(2)半島人監督者二関シテハ所員、役付鉱員等ノ朝鮮各山ノ経験者ヲー部内地事業所ノ者ト交代(転勤)セシムルコト。
(3)朝鮮ニ於テ半島人労務者養成所ヲ設置シ、一定ノ期間教育セルモノヲ内地ニ移入セシムル方法ヲ講ゼラレタシ。
(4)事業場ニ於テハ半島労務者ノ訓練所ヲ設置シ、一定期間其ノ訓練所ニ収容シ、教育、生活、職業等ノ指導訓ヲ実施シタル者ヲー般半島人ト同居セシムル如ク実施スル様研究ノコト。
(5)半島労務者ノ国民学校初等科程度ノ教育ヲ実施スルコト。
佐賀関精錬所(大分)
技術上ノ対策
(1)採用後若干期間ハ作業ヲ離レテー般訓練ノミヲ行フコト。(皇国民トシテ鉱業人トシテノ覚悟、規律命令服従其他)次ノ若干日所属作業ノ実地ニ付、指導者ヲシテ特ニ訓練ヲナスコト。
(2)管理上対策
三十人ニツキ専任管理者一人ヲ配置シ指導セシムレバ理想的ナランモ実現ハ困難ナラン。佐賀関ニテハ次ノ程度ニテ管理シツツアリ。
(別表)佐賀関半島人管理監督者其他配置表
一、山ノ上住宅区域(現従業員二三六人、従来ノ最大数二八三人)

職別 人員 用務

守衛長 内地人 三 警戒(三交替)
助手(雑夫) 半島人 三 警戒(三交替)
助手(雑夫) 内地人 二 通訳、雑務、捲揚機(昼勤)

二、日向泊住宅(現従業員七〇人、従来ノ最大数七五人)

職別 人員 用務

守衛長 半島人 一 供給所、病院、用件等(昼勤)
助手(雑夫) 半島人 一 同 (昼勤)

河津鉱山(静岡)

(1)各山ノ特殊性ニ応ジ、従来ノ経験ヲ基礎トシ、適当ノ指導管理ヲ実施スル事(役付半島人労務者ヲ半島事業所ヨリ融通ヲ受クルコト。)
(2)米殼ノ特配。
(3)警察トノ連絡強化。
大谷鉱山(宮城)
半島人鉱員ノ大部分ヲ占ムルニ至レバ、予メ内地人トノ軋轢ヲ考慮シ、作業場ヲ全然区別スル様準備ノ必要アリト考ウ。指導的立場ニ於テ内地人ヲ半島人ト共同作業セシムルハ結構ナレドモ、同等ノ地位ニ於テ而モ半島人著シク多数ノ場合ニ於テ共同就業セシムルハ一考ヲ要スト考ウ。言語不通ノ作業能率ニ及ボス影響少カラズ。其数多数ニ及ベバ能率増進上ノ重大問題ニシテ、内地語奨励ノ為メ内地語手当ヲ支給シ度シ。半島人逃走問題ニハ各所共困惑致シツツアリ。移入当時ニ最モ多ク甚ダシイ。着山二、三日ニシテ逃走スルモノアリ。当初ヨリ鉱山労働ヲ目的トセズ、内地渡航ヲ目的トセル者ト推察セラルル所ニシテ、経費ト手数ヲ省ク意味ニ於テ募集ニ当リテハ厳選ヲ希望ス。

豊羽鉱山(北海道)
現在ノ労務者数左記ノ如シ。
内地人  六七〇名  内本山  四八〇名
半島人  四九二名  内本山  四五五名
即チ本山ハ約五割(坑内約七割)ヲ占メ飽和状態ニアリ。組長以上ノ者ニテ半島人使用ニナレタルモノ(半島人ニテモ可ナルモ、半島人ナル時ハ特ニ厳選ノ要アリ。現在本山一名、石山一名ノ各半島人組長アリ)ヲ朝鮮在勤者ト交流メル事。
成績良好ナル半島人ヲ五人組ノ組長トスル事。
直接労務員ニ接スル職員モ亦半島語ニ習熟スルヲ必要トス。(現在ノ状況ニテハ其ノ余裕ナシ)
高玉鉱山(福島)
半島人ノ大量使用ニ際シ、技術上ノ対策トシテハ半島人ノ特質ヲ検討吟味ノ要アリ。例へバ生理上半島人ニ適当スル職種ノ選択ヲ行イ、諸規則ノ遵守、爆薬使用上ノ注意、安全用語ノ早期習得等、保安上ニ特ニ留意シ、又作業ノ仕上リノ点検ヲ厳トナスコト等ナリ。一方作業上ニ於テモ内地人ト相連携セシメ、協調融和ノ要アルモ、其取扱ハ内地人ヲ兄トシ、半島人ヲ弟トナス心構ヲ最上策ト思考ス。
次ニ管理上ノ対策トシテハ、移入前改政府ニ於テ朝鮮ニ適当ナル訓練所ヲ設ケ、内地並ニ鉱山二付充分ナル認識ヲ得セシメ然ル後各山ニ配当セシメル様当局ニ要望シテハ如何。
又半島人ノ附和雷同性ヨリ生ズル集団的不穏行動ニ備ヘテ、部隊組織トナシ斑長(内地人職長)-半島人監督-班員ノ構成トナス。其他病院ト連絡シテ仮病ニヨル欠稼防止、守衛巡回ニヨル出勤督励、警察署トノ協力ニヨル逃亡防止ニ益々意ヲ用ウル事緊要ナリ。
峰之沢鉱山(静岡)
今後鉱山労務者トシテハ、内地人ヲ割当テズ総テ移入半島人ニ依り労務供給ヲセラルル様聞キ及ブモ、之ハ由々シキ大問題ト思ワル。
作業精神ノ粗雑ニシテ技術ノ進歩遅々タル半島人相手ニテハ到底予期スル作業ヲナシ得ザル不安ヲ感ズ。殊ニ移入半島人ノ取締方法ナキ為メ、管理上万全ヲ期シ得ズ、将来万一前記ノ如キ労務配置ヲ実施セラルルナラバ、之ニ並行シテ取締方法モ確立セラルル様改府ノ善処ヲ要望スル次第ナレドモ、此点ニ関シテハ内務省、厚生省共ニ頭痛ノ種ナラント考ヘラル。
註 この資料は四冊からなっており、謄写刷である。なおこの(三)の中国人労務管理は省略した。上段のカッコ内の県名は本文にはなく便宜上記入した。また仮名使いを若干訂正した。
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One Response to “朝鮮人徴用労働者の労務管理(昭和16年度)興味深い資料です”

  1. Kazu Emu より:
    読者としては、
    『本資料ノ内容、及ビ趣旨ニ就イテハ、広ク正シク拡散ノ必要在ルヲ痛感ス。』
    という感想です。

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