藍川由美氏の歌う中山晋平は素晴らしい

先日靖国神社から千鳥ヶ淵にかけての桜のお花見をしてきました。やはりこの季節に一曲、というわけでYOUTUBEから素晴らしい映像と曲を紹介します。

中山晋平「ゴンドラの唄」

こうして名曲がYOUTUBEで聴けることはうれしいのですが、この曲を歌っている藍川由美氏が録音した「藍川由美 ゴンドラの唄 中山晋平作品集」というCDは、この曲が気に入った方はどうか買ってほしい。これは実に素晴らしい作品です。大正から昭和にかけ、日本の偉大な作曲家、中山晋平の歩みと、そして野口雨情の素晴らしい作詞をじっくりと味わうことができます。

ここで紹介した「ゴンドラの唄」は大正4年、ツルゲーネフ原作の「その前夜」を演劇で公演した際の劇中歌として作曲されました。しかし、締め切り寸前の中山晋平のもとに「ハハキトク」の電報が届き、彼は急いで帰郷したものの臨終には間に合わず、帰りの夜行電車の中でこのメロディを書くはめになりました。この曲は、母を失った直後に作られたものでした。

また、童謡「シャボン玉」の作詞は野口雨情ですが、彼は長女を生まれてすぐになくしています。「うまれてすぐに 壊れて消えた」の歌詞の背後にはそういう体験も秘められていて、藍川氏はその思いをさりげなく示すようなゆっくりした哀感を込めた歌い方をしています。

藍川氏は解説で、中山晋平は、当時の西洋崇拝・欧化主義に満ちていた東京音楽学校の空気に異を唱え、日本音楽のリズムやメロディを大切にしようとしたことを解説し、最後にこう結んでいます。

「現在、わが国では、いまだに日本の唄の専門教育を始める気配すらない。いったい誰が、この国の音楽文化の伝統を紡いでいくのだろう。明治時代の『唱歌』や、大正に始まる『童謡』、昭和の『歌謡』などを使い捨てにするようでは、日本の歌に未来はないのだが。」

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