キングレコードから「伝説の名テノール 永田絃次郎の遺産 」が発売されました。音がすごくいい!

キングレコードから 永田絃次郎の戦前から戦中にかけての録音が二枚組CDで発売されました。
「伝説の名テノール 永田絃次郎の遺産」KICG-3273~4
http://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICG-3273/

産経新聞の紹介記事です

ポピュラー新盤 「伝説の名テノール 永田絃次郎の遺産」

 ■山田耕筰も激賞した美声

 戦前の名テノール歌手で「日本一の美声」ともうたわれた永田絃次郎の48曲を収めた決定盤というべき一枚。

 すべてが昭和10年代に録音された。海外各国の民謡や「荒城の月」など国内の名歌、時代的な国威発揚の歌などあらゆる曲を歌っている。当時の世相をうかがえるのも楽しい。
 一貫しているのは本人の歌唱力の高さか。高い音でも嫌みにならずに響いてくるテノールは冒頭の異名がついたのもまさに納得で、作曲家の山田耕筰は「東洋人には見いだし難い美声」と激賞したという。
 戦前に発売中止になった曲の金属原盤が発見され、それが最新技術を駆使して復刻されたことも注目。歌劇王、ベルディの歌劇「リゴレット」にある「女心の歌」など4曲は諸事情で発売もされなかった曲で、初めて日の目を見るだけに貴重といえる。(康)
http://www.sankei.com/entertainments/news/150918/ent1509180012-n1.html

これまでも、「蘇る幻のテナー 永田絃次郎 (金永吉)」というCDが発売されており、そこには北朝鮮「帰国」後の録音もあって資料としては大変貴重なものなのですが、かなりスクラッチ・ノイズが入って、やや聴きづらい感もありました。今回のキングでの復刻は、古い録音でもほとんどノイズもなく、特に戦前の永田の美声の魅力がはっきりと伝わります。そして、楽曲解説の郡修彦、永田の生涯を簡潔にまとめた喜多由浩各氏の文章がまた素晴らしいものです。ぜひご一聴をおすすめします。「女心の歌」など未発表曲も含まれています。

個人的な趣味としては「荒城の月」の歌唱が素晴らしい。この名曲を、これほどの情感を込めて歌った録音はあんまりないと思う。またピアノの伴奏がまた素晴らしい。周恩来は彼を「東洋のカルーソー」とたたえたそうですが、録音で聴く限り、カルーソーのような堂々たるテノールというより、むしろリリカルな、イタリア・オペラに例えるならスキーパやタリアヴィーニの歌声を思わせます。例えば戦前のオペラ歌手の藤原義江のような、ドラマテイックに歌ったり自分なりにメロデイを崩したりはほとんどなく、実に丁寧に、どの歌もメロデイをいつくしむように歌いこんでいます。

戦前にオペラ歌手としてデビュー、戦中はここにもおさめられたような軍歌を歌い、戦後は北朝鮮に帰国し、おそらく悲劇的な運命を迎えた永田絃次郎ですが、喜多氏は解説で、彼はとにかく歌が歌いたかった、それを貫いた一生であり、悔いはなかったのではないかと記しています。激動の時代、ひたすら歌を愛し続けた歌手の記録に耳を傾けていただければ幸いです

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