佐波優子氏に感謝します、ウイグル12ムカーム講演会を紹介してくださいました

チャンネル桜にて、佐波優子氏が、12ムカーム出版記念講演会について紹介してくださいました
是非ご覧になっていただきたく、こちらでも紹介させていただきます
佐波氏には実は講演会の10日ほど前に無理を言って司会をお頼みしたのですが、お忙しいにもかかわらず快く引き受けてくださいました。その彼女自身が12ムカームに大変感動してくださったのは本当にうれしいことです

その上で、補足になるかどうかわかりませんが、月刊日本に書かせていたいた私の文章の一部をここにも紹介します(三浦)

そして現在、この十二ムカームが編纂された、一九八〇年代中盤頃に垣間見えた民族の和解の精神を中国共産党は全く放棄し、ウイグルに於いては文化大革命時に行ったような伝統抹殺をさらに強化し、ウイグル人から、言葉も、信仰も、そして命までも奪い去る民族浄化政策を行っている。今の時代、十二ムカームのこのような詩はどんな思いでウイグルの若者たちに響くのだろうか。

「頭上に真っ白な雪を頂く山々よ 私のこの様な有り様を お前たちは見たことがあるか 敵に捕らえられてしまった わたしのこんな有り様を お前たちはみたことがあるか 私の涙に 目をとめてくれ 誰一人 私のそばにやって来てはくれぬ 頭上には 雨のような鞭が降ってくる 私のこんな有り様を お前たちは観たことがあるか」(百六十頁)
 そして、今、ウイグルにおける虐殺とも言うべき弾圧を逃れて、難民として彷徨うウイグル人たちもいる。彼らに、次のような詩句はどう響くのだろうか。
「運命の混乱の中 私のように弱り切ったものがいるだろうか この世の暴虐と不正の中 私のようにおとしめられたものがいるだろうか」(百六十頁)
 今、ウイグルの追い詰められた人々の中には、かっては同地には存在しなかった過激なイスラム教に惹かれていく人や、また、中国の圧政に殺されることを、そしてその残酷な支配を批判することもなし得ない世界全体への絶望に対し、最後の反撃を試みようとする人々が現れる可能性は高い。しかし、その時彼らの心に、十二ムカームのこのような言葉がよみがえるのならば、彼らの戦いは決して自暴自棄のテロではなく、総ての矛盾に耐えながら世界を支えようとする真の聖戦としてたちあがるだろう。
「ああ 天輪が軌道を外れ、最後の日の謡言を作り出したから この世は凄まじい混乱に陥った 流言飛語の嵐は 平安の灯を消してしまう 今や墓場同前のこの世界にさえ 安らぎはない」「この世の宴に 時に誠実なものが現れたとしても 天は彼らの頭上に 苦難の意志を降らせて消滅させる よき人の名はこの世に残る 悪事を働いたものは その名もその跡も わずかも残らぬ」(百三十四頁)
 この詩を書いたのはマフズーン。彼は民衆の生活の苦しみや権力の偽善、世界の矛盾を深く憂い、歌った(解説二百六十頁)。ここでの「天輪が軌道を外れ、最後の日の謡言を作り」とは、キリスト教では黙示録にあたる世界の裁きの時であり、イスラム教でも。神が全ての人間の生涯における善と罪とを裁く日のことである。マフズーンは社会において誠実なものほど迫害され、宗教者も含めて偽善者ほど讃えられるのを知っていた。しかしその上で、「よき人の名はこの世に残る」ことを歌いつづけた。そして、このような時代だからこそ、古典詩「ガリブとサラム」の悲恋詩が意味を持つ。
「故郷を離れ 異郷の地を転々としたことがないなら 王たちには 故郷の価値が分からない 悪人とのつきあいがなければ 善人の価値はわからない」「神は誰にでも痛みを与えるが 痛みを治す力も与えてくれる 苦悩と苦痛に襲われて初めて しもべは『神よ!』と叫びの声を挙げる」(二十九頁)
去る九月、国家分裂罪に問われていたウイグル人学者、イリハム・トフテイ氏が、9月23日無期懲役の判決を受けた。同氏はウイグルの独立も、また暴力的な抵抗運動を厭度も支持したことはなく、常に現在の中国憲法でも認められているはずの民族伝統の尊重や自治権の確立こそ、中国とウイグルの和解の為に必要不可欠だと訴えたに過ぎない。しかし、現在の中国政府はそのレベルの言説であれ許しがたいものとみなしたのだ。
 今やウイグルに於いては警察が何の証拠も通告もなく、家屋に押し入り調査するのは日常茶飯事となっている。この7月、ある一家がそれに抵抗し、70を超えた老人から幼子まで全員がその場で銃殺される事件が生じ、これに対して民衆が抗議したことがヤルカンドにおける虐殺につながった。世界ウイグル会議は現地からの手紙を公開、軍が出動し戒厳令に近い状況の中、数千人が殺された可能性を示唆している。このような時期に、本書が日本では抗されたことには大きな意義があるはずだ。ウイグルは漢民族とは全く違った文化と歴史を持つ民族であることを再確認するための一冊として、ぜひ本書をおすすめしたい。
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