ジャン・フランソワ・パイヤール死去 

多分英文やフランス語のホームページを探せば出ているんだろうけど、フランスの指揮者、ジャン・フランソワ・パイヤール氏がこの4月15日なくなりました。正直b、わが世代の(50代ね)クラシックファンにとってはかなり有名な人なのだが、あまり死亡記事もみあたらなかった。しかしこの人の指揮するパッヘルベルの「カノン」を聴いた人にとって、この曲はやはりパイヤール盤にとどめを刺す、と思うほど忘れがたい名演と思います。

前にも書きましたけど、バロック音楽の演奏は70年代以後革命的に変わり、作曲時代当時の演奏スタイルで、楽器もその時代のものを復元して使用するようになった。パイヤールはその前の世代で、本人もそのようなお理事なうr楽器使用には批判的、あくまで現代の楽器で演奏するタイプでした。そして、この「カノン」に関しては、もともとムードたっぷりのメロデイをますます悲しげに歌わせ、チェンバロは鳴り響き、編曲もちょっと変えて鳴らしていた。あえて誤解を恐れず言えば、これもわが愛するポール・モーリア楽団との共通性すら感じるほど。

もう一つ私の好きな演奏は、これは父の持っていたLPで聴いたのですが、モーツアルトのフルートとハープのための協奏曲。これもリリー・ラスキーヌとジャン・ピエール・ランパルという、もう名前からしておフランスな響きの演奏者のバックを、パイヤールがこれまた当時まだまだヨーロッパが遠い世界だった日本人にとっての「おしゃれオフランス」な感じでつけている。まあ曲も名曲ですけど、この曲もまた、個人的にはいろいろな名盤もあるでしょうがこのパイヤール盤が最高。

パイヤールは来日し日本の水戸室内管弦楽団も指揮した。そのメンバーでフルート奏者の工藤氏のコメント(これは生前のもの)があるのでご紹介。

工藤重典 (フルート奏者、水戸室内管弦楽団メンバー)

パイヤール氏とは、かれこれ13年のつきあいになります。フルートのジャン-ピエール・ランパルやトランペットのモーリス・アンドレ、ハープのリリー・ラスキーヌなどの共演者として有名だったパイヤール室内管弦楽団の名盤を小学生のときから聴いていた僕にとっては、大変な憧れの人でした。

お付き合いのきっかけとなったのは、彼が確か4度目になるヴィヴァルディの四季のレコーディングの時でした。当時、LPからCDに切り替わったとき、時間が余りすぎるので、誰かフルート協奏曲を一曲か二曲吹いてくれる人がいないだろうかと、笛吹きを探していたらしいのです。するとどういう訳か僕に話が回ってきて、しかも、その時は直接、パイヤール氏が電話をしてきたので当惑したのを、今でも良く覚えています。

彼とは、うまもよく合ったので、運よく彼の室内オーケストラで数回に渡るレコーディング、フランス、日本、アメリカにおけるツアーも、随分やらせていただきました。特にバロック音楽に対する─但し、これは今流行りの古楽器によるスタイルではありませんが─感性のすばらしさは、特筆に値するものがあると思います。彼にとってバロックとは、生き生きとした人間の生命力であり、日常の出来事といった感じで、自然な音楽としてとらえているようす。そして、そのバランスの良さは天下一品で、それがおそらく万人に受け入れられた大きな要因だと思います。

アメリカツアーでの思い出話としては、大変に長い旅(11州を40日間まわった!)だったのですが、移動中はいつも不思議な計算器で訳のわからぬ数字と睨めっこしているので、尋ねると「ある惑星と地球との距離を計算しているところだ。」なんて言われて驚いたものです。

http://www.arttowermito.or.jp/music/mco46homaj.html

パイヤール、イ・ムジチ、ミュンヒンガー・・・

おそらく、この方々は私たちにバロック音楽の面白さを教えてくれて一つの時代を気付いた人たちでした。正直、どの方も「巨匠」ではなかったと思う(そこがカール・リヒターと違うところ)。しかし、ある世代にとっては今後とも忘れがたい存在としてその録音が聴き続けられるだろうし、若い人たちにもいつか違った形で再評価されると思います

そのフルートとハープのための協奏曲をどうぞ。

ハープがひらひらと入ってくるところはいつ聞いてもオフランスでたまらん

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