恵谷治氏が亡くなられました。「猛き箱舟」を思い出しました

恵谷治氏が亡くなられました。拉致問題、北朝鮮分析などでも多くの仕事をされた方でした。実は朴槿恵政権誕生前に、次のような指摘もある講演会でしていました。要約して紹介します。

まず、北朝鮮の国家目的は朝鮮半島の赤化統一で、その為に全てが組み立てられている。一つの方法は勿論武力による南進統一で、その戦略は韓国全土の占領ではなく、アメリカに届く核ミサイルを持つことでアメリカをけん制しつつ、奇襲でソウルを占領する、そして直ちに休戦交渉に入り、ソウル市民を人質にした形で有利な交渉を進める。この可能性はゼロではない。

しかし、よりありうるのは高麗連邦共和国構造で、南北両国で連邦制をつくる。ここで恵谷氏は、人口比率からすれば、仮に連邦議会を作ったら北からは100人、南からは200人の比率なので、北は不利に見えるけれど、北朝鮮は独裁国だから全議員は金正恩のもと団結するが、南は民主主義国家、しかも左翼の影響が強いため、例えば3割の議員が親北派であれば、議席数はそれだけで北支持が過半数の160になってしまう。その意味では、連邦制に向かえば北優位の朝鮮半島が完成する可能性は高いと恵谷氏は指摘していました。

現状を見れば、まさに韓国はその方向に向かっているといえるでしょう。今後、朝鮮半島情勢が大きく動くかもしれない中、優秀で冷静な分析家を失ったのは大きな損失でした。

ただ、恵谷氏の大きな業績の一つに、日本ではあまり知られていない、西サハラのポリサリオ解放戦線のルポがあります。これはゲリラたちと同行し正に最前線を見た人にしか書けない作品でした。「西サハラ―ポリサリオ戦線の記録」(朝日イブニングニュース社)ただ、本書はもう古書でも入手しにくいでしょうね。このルポを参考に想像力をたくましくして小説にしたのが、船戸与一「猛き箱舟」でした。船戸氏はバリバリの左翼ですが、この小説は面白いですよ

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